イラン〜アフガニスタンの国境付近で遊牧生活を営んでいた、バルーチ族によるものです。サドルバッグと呼ばれる、馬の背中に掛けて使われたバッグの表面です。80〜90年程前に織られた物との事です。縦約63㎝(フサ含まず)、横約63㎝と小さめのものですので、壁飾りにしたり、小テーブルの上に敷いたりされると良いかと思います。焦茶色ベースに紺・緑を多用し、白・黄色がアクセントになるバルーチとしてはカラフルな絵柄です。以前出品したバルーチのバッグフェイスに似たメダリオンを中央に配置した絵柄ですが、周囲は木のモチーフで囲まれています。非常にバランス良く整った織りで、熟練した女性により織られたと思われます。写真ニ枚目は日干しした際に撮影しました。太陽光の下では明るい色合いに見え、特にインディゴのパイルの艶が美しいです。パイルは全体的に低目です。中でも焦茶色は他の色と比較すると特に低くなっていますが、天然染料の媒染剤として鉄が使われているため磨耗と経年変化に弱いからだそうです。古い物である証とも言えます。元々はもう一回り大きなサイズだったのを、傷んだ部分を切り落とした物と思われます。左右の端も下端も綺麗にかがり直されています。上端の紋織りは良く保存されています。メダリオンの下端中央に経糸が切れたような部分がありますが、裏から補強されています。表からはベージュ〜薄いピンクに見える色は裏面では鮮やかなピンク色です。この色は合成染料かと思いますが、褪色した色の方が全体の雰囲気には合ってマッチしているように感じられます。購入時はかなり汚れていましたので、ウール用洗剤で洗濯しました。個人的な感覚ではありますが、現状は頬ずり出来るくらい綺麗です。我が家では鑑賞のみで実用していません。オールド キリムから始まり、トライバル ラグ・部族系絨毯と言われるアンティークの毛織物にはまり、数か月前にオランダ在住のディーラー様から譲り受けたものです。気に入って入手したものですが、収納スペースが手狭になり整理のため出品します。オールドキリムや絨毯がお好きな方、古い手工芸品に理解のある方にお譲りしたいと存じます。長い年月を経てきたなりの難がありますが、作成し使用してきた人々や歳月に思いを馳せつつ、現状のまま愛でて下さる方の購入をお待ちしております。家庭内に喫煙者・ペットはいません。